top of page
検索
ニッチ

法隆寺とギリシャ建築

現在では減ってきましたが、長らく、

法隆寺にはギリシャ建築の影響があるといわれてきました。


ギリシャ神殿と同じように法隆寺の柱も単なる円柱ではなく、

中央から下3分の1にかけて膨らみが生じているからです。

nonbirinonko、nsmaibunによるPixabayからの画像


今では、この話は教科書からもなくなりましたが、

いまだにそう信じている人がいます。


こういった柱のふくらみをエンタシスといいますが、

ヨーロッパでは早くから、木造建築、あるいは樹木の模倣としての

デザインではないかとも言われていました。


そのなかで、視覚的なデザインも取り入れ、

今のような理解になったのではないかと考えられています。


そもそも、エンタシスに関して体系的にまとめた、

ウィトルウィウスという人物はイタリア、ローマの人であり、

ギリシャの人ではないんです。


さらにいえば、パルテノン神殿が作られてから400年近くたった後に、

記述しているのです。

今でいえば、江戸時代初期の建物の設計思想を現代の設計士が、

語っているのです。

単純に比較はできませんが、元の設計思想を反映しているかは、

定かではないんです。


ただ、そこが建築の面白さでもあります。

最近になって、さまざまな資料が発見されつつありますが、

それでもわからないところは、合理的で一番矛盾のない仮説を

積み重ねていくしかありません。


それぞれの時代の社会的背景と人間の想像力によって、

築かれているのです。

案外、建築には関係のない人の発想が、

研究を飛躍させていく可能性も決して小さくありません。


皆さんも観光に行った際、パンフレットに書かれている内容について、

ホントか?と思ってみてみると、

思いもよらない体験ができるかもしれません。



閲覧数:146回0件のコメント

最新記事

すべて表示

都市伝説の多い日本建築

日本建築には様々な都市伝説が通説として流れています。 具体的にいくつかピックアップすると、 ・法隆寺はギリシャ建築の影響を受けている。 ・正倉院の校倉造は古代の空調設備だ。 ・間口が狭く奥行が深い町家は、昔の税金が間口の広さに合わせてかけられていたから。...

ぶらり徒然

学生時代、私は徒然なるままに生きていました。「徒然」には、“手持ち無沙汰、することがなく退屈である“という意味があります。 思い起こせば、中学生の頃から何かが足りないと感じながら生きてきたように思います。高校、大学受験もなんとなく受けて、その時々で自分の進路に格好のつく理由...

Comments


bottom of page